「ルパン三世 ワルサーP38」と、彼の持つ愛銃がタイトルとなっている今作。
1997年8月に日本テレビの金曜ロードショーにて放送されたルパン三世生誕30周年記念作品であり、TVスペシャルシリーズの第9作目となる作品です。
後の金曜ロードショー公式サイト「ルパン三世アニメ化50周年・ファン投票企画」のTVスペシャル部門にて第1位に選ばれ、2021年10月22日に再放映されると、ファンの間では人気のあるエピソードとなっています。
ルパン三世のTVスペシャルシリーズでは屈指の名作として知られている今作の内容について、エレンや暗殺組織タランチュラについても含めて紹介していきたいと思います。
↑ページが移ったら、「購入へ進む」の隣りの「試し読み」をタップ!
『ebookjapan』なら無料初回ログインで、6回使える50%OFFクーポンがもらえます。
●ルパン三世を読むならebookjapan
ebookjapanの特徴や会員登録の方法!作品の購入の仕方も画像付きで解説
目次
ルパン三世ワルサーp38でエレンとは?
「ルパン三世 ワルサーP38」ルパンTVSPの中で最もシリアスな作風で知られています。シリアスなルパンがかっこいい!
その中に出てくるゲストヒロインのエレンも人気です。
ルパン三世「ワルサーp38」のあらすじ
とある国の副大統領の誕生パーティーが催されていた夜。
ルパン三世の予告状が届き、厳重な警戒が敷かれていた中、ルパンは自分の名を偽った偽物を探しに会場へと侵入していました。
しかしそのパーティーの最中に世界最大規模の武装暗殺集団・タランチュラが襲撃し、見境も無く来賓を警備を殺害し、副大統領も殺害してしまう凶行を行ってしまいます。
襲撃者を追いかける最中、銭形警部が何者かに撃たれてしまいます。
銃撃した相手は、タランチュラの入れ墨を手に刻み、その手には白百合の装飾が施されたシルバーメタリックのワルサーP38が握られていました。
それはかつてルパンが愛銃として使い、そして奪われてしまった因縁の拳銃だったのです。
タランチュラの入れ墨とシルバーメタリックのワルサーP38の謎を追いかけ、副大統領襲撃した武装集団が「タランチュラ」と知ります。
ルパンは本拠地があるバミューダ・トライアングルの島へと乗り込んでいきます。
かつての因縁に決着をつける為に……
エレンとは?
「ルパン三世 ワルサーP38」を視聴。全編ダークでバイオレンスな描写が多く、コミカルな場面が少ないTVスペシャルシリーズ作品。ルパンの愛銃ワルサーP38にまつわる話の断片が垣間見ることが出来る。ゲストヒロインのエレンには落涙必須。ED曲「瞳を忘れないで」はシリーズ中、名曲の一つだろう。 pic.twitter.com/48r0GsaS6c
— ドライゼ (@Dryize_USP) May 26, 2018
本作の物語のヒロインとなる少女・エレン。
優れた身体能力と格闘技術を備え、銃器や戦闘機などの扱いにも長け、タランチュラの幹部クラスの暗殺者としての地位を持っています。
容姿は長い髪を束ね、澄んだ瞳をしており、面影には幼さが見え隠れしているも、残酷な暗殺者の集う組織において臆することなく気丈に振舞う強さも持つのです。
気質は穏やかであり、暗殺に対して忌避感を抱き、出来るだけに殺人を行わない様にしようとする殺人者になり切れない側面もあります。
かつては貧しい幼少期を迎え、心を許していたのは血の繋がっていた弟のアレックスのみ。
頼れる者は無く、アルコールに依存していた父親によって、酒代欲しさで弟と共にタランチュラに売られてしまうと、彼女の人生は恵まれていたものではありませんでした。
生まれてから自由を奪われ続けた彼女。
弟のアレックスの為にタランチュラで地位を上げるも、いつか最悪の結末を迎えるだろう組織に未来などはありません。
彼と共に脱出する決意をするも、その半ばで彼は死に、一人遺されてしまった彼女。
アレックスの形見となったオルゴール付きのペンダントを大事にし、弟が果たせなかった自由を得る為にルパンに協力する事となります。
エレンの最期
タランチュラからの離脱を決めたエレンを始めとする脱出組の面々達。
アレックスの協力者だったドクターの指示のもと、毒の成分表を基に解毒薬を作成し、金塊の強奪を行い、脱出船で逃げる際の難関となる衛星レーザーを破壊する計画を立てます。
しかしそれはドクターの狡猾な罠だったのです。
解毒薬はすぐに効力を失ってしまい、また破壊される筈の衛星レーザーは1時間遅れで破壊される仕掛けが施されていたのです。
奪った金塊は全て偽物だったと、信頼していたドクターに裏切られ、ついには弟を殺害した仇だと知ったエレン。
騙したドクターに報復を誓うも、疲弊した身体で太刀打ちが出来ず人質にとられてしまい、飛行船へと連れ込まれてしまいます。
しかし追いかけてきたルパンにより助けられるも、飛行船が島から離れてしまい、毒が活性化し、ドクターに追い詰められてしまうルパン。
彼を助けるべく、エレンはドクターの放った銃弾を受けてしまいます。
ワルサーを失い、追い詰められたドクター。
解毒薬を見せつけ海に落とすと脅しますが、エレンはアレックスの仇を討つためにルパンのワルサーに手をかけ、彼と共に引き金を引きドクターを撃ちます。
弟の仇を討つも、解毒薬を失い、金塊も失った事をルパンに詫びるエレン。
しかしルパンは責める事もなく、解毒薬なんて作れば良いと励ますも、彼女の命は尽きようとしていました。
自由をほんの一瞬だけ感じられた事、こんな自分を助けてくれたルパンに感謝をしながら、エレンはその生涯を終えます。
暗殺組織タランチュラについても
暗殺組織タランチュラとは?
38本目「ルパン3世 ワルサーP38」
出した覚えのない予告状の秘密を探りにきたルパン
そこに武装した暗殺者達が現れ、かつての愛銃で銭形警部が撃たれてしまう
彼らは闇の組織「タランチュラ」
ワルサーの謎、組織の金塊を狙いルパンは島に潜入するのだが……シリアス路線#ぴにゃシネマ pic.twitter.com/q4EwpTH6qU
— ぴにゃこら (@fanservice928) September 4, 2021
今回ルパンと対峙する犯罪暗殺集団タランチュラは世界最大の組織であり、世界各地の要人暗殺に関わるなど、その活動は世界規模で行われています。
相手が大統領であろうとも躊躇わず暗殺を遂げる死をも恐れない構成員達。
その手にはタランチュラの入れ墨が彫られているも、それは猛毒が含まれた入れ墨です。
任務中に捕らえられても、その正体が明かされる事なく命を落としてしまうと、裏切り防止と処分を兼ねそろえた鎖に繋がれた囚人でもあったのです。
そんなタランチュラのバックには世界各国の政府要人や権力者が控え、彼らの政敵を葬る為に依頼を受け標的を抹殺する事を生業とした組織として使われていました。
長年ICPOの捜査の手から逃れられていたのも、そのバックの影響力があったからです。
拠点はバミューダトライアングルの島にあり、そこはかつてナチスが秘密裏に設けた軍事基地であり、タランチュラの毒もかつての戦争の産物でもありました。
この島から噴出するガスによって毒の効果は抑えられるも、ひとたび出てしまえば活性化して死に至ると、逃げ出す事の出来ない構成員達。
その半数は死刑判決を受けた犯罪者や、戦闘狂の戦争犯罪者に、また幼い頃に売られてしまった奴隷などで構成されています。
ボス・ゴルドーによって組織されたタランチュラ。
しかし静止衛星のレーザーによって対外の侵入者を防ぐも、常に政府の監視下に置かれ、都合の良い暗殺の消耗品として扱われているのです。
タランチュラのボス・ゴードン
タランチュラのボス・ゴードンの特徴は右手を機械仕掛けの義手を仕込み、巨大な体躯を持ち、禿頭の額にタランチュラを施した初老の男性。
タランチュラの支配者として君臨し、暗殺任務を行えなくなってしまった部下を躊躇なく処分してしまうなど、冷酷非情な性格をしています。
また初老とは思えない程の暗殺者としての戦闘能力を持ち、銃弾を見切る高速の移動を行えるなど、常人離れをした身体力を兼ねそろえています。
またタランチュラの入れ墨に仕込まれた毒の開発者でもあり、かつてナチスの関係者だった過去があるなど、その経歴は血に塗れています。
戦後の戦争責任から逃れる為に世界各国の権力者から依頼を受け、政敵関係者の暗殺を請け負うタランチュラを組織するゴードン。
しかしいずれは自分も捨て駒として扱われると察し、虎視眈々と組織から逃れようとしていたのです。
ドクターと手を組み、彼を出し抜き、金塊を横取りしようと画策をするも、ドクターには全て見透かされてしまい、最終的に殺されてしまうと因果応報な最後を迎えてしまいます。
ドクターの正体
タランチュラの構成員であるも暗殺者としての能力は無く、医者として働く温厚な人物。
容姿は後ろで縛った長髪で眼鏡を掛け、脱出組の面々から信頼を寄せられている医師。
タランチュラの入れ墨の毒の効力を消す解毒薬を作成するなど、エレン達の脱出に協力していました。
しかしその正体は、ルパンのかつての相棒だったのです。
その本性はルパン曰く非常に冷酷かつ狡猾。
かつてルパンを裏切る際に、彼が愛用していたシルバーメタリックのワルサーP38を奪い、それでルパンを撃ち飛行機から突き落としたと、ルパンを欺いた人物の一人だったのです。
温厚な表情の裏には凶悪な一面を隠し、目的達成の為ならば手段を択ばない人物。
ルパンに負けず劣らずの頭脳明晰な知識と優れた格闘技術を持つなど、恐るべき才能を持ち、ルパンの美学を否定し吐き捨てるなど、彼とはあまりにもな対照的な存在。
自分の利益の為に他者を平気で犠牲にしてしまうと、冷酷非情な一面を持ち合わせています。
タランチュラに関わっていたのも、組織が持つ大量の金塊を全て手に入れる為。
ルパンをおびき出した偽の予告状。
シルバーメタリックのワルサーでの銭形を狙撃。
全てはタランチュラの金塊強奪の罪を着せる為に誘い出しだったのです。
そして最後には協力者だったゴルドーを出し抜き計画通りに事を進めるも、エレンの執念によって追い詰められてしまいます。
ルパンとエレンによって葬られると、裏切り続け、仲間を騙し続けた悪党の最後を迎えてしまます。
まとめ
今作のルパン三世はダークな印象が強く、コミカルな部分が抑えられた物語として注目されています。
それまでのテレビ版ルパンシリーズの中ではシリアスは薄く、コミカルな内容が目立ち、ヒロインがルパンに恋をして終わるなど、どことなくに明るい雰囲気が目立っていました。
しかしこの作品の中ではコミカルな演出があるも、それを抑えてしまう程に悲哀を感じてしまうのは、ヒロインのエレンの存在があったからです。
暗殺者として育ち、自由など無く、強要された人生を歩まされ、唯一に自由を感じられた一瞬に幸福を感じ、人生を終えてしまった彼女。
ルパンは、そんなエレンを救う事が出来ず、自分の因縁の決着の為に犠牲にしてしまったと感傷を負い、彼女の死を悼みながら島を後にします。
因縁のシルバーメタリックのワルサーを捨て、島を去っていくルパン。
そのエンディングは物悲しくも、死を通してようやくに自由を手に入れたエレンの旅立ちともとれる内容で締めくくられています。
生きて外で自由になる終わり方もあるかもしれません。
しかし暗殺者として生きていたエレンが外の世界で生き抜く事は出来ず、死して生まれ変わり、幸福な人生を歩めたらと、微かな希望で幕を閉じた今作。
悲哀と哀悼が込められたシリーズの名作といえるでしょう。
コメントを残す