「コヘレトの言葉」シリーズも5回目を迎えました。
こちらでは、「コヘレトの言葉」5回目の「今」をみつめるについてまとめたいと思います。
目次
コヘレトの言葉5「今」をみつめるを考察!
コヘレトの言葉には、「未来を知ることはできない」という戒めの文章が繰り返し書かれています。
人々は危機に陥ると、未来がどうなるのかを知りたい、という欲望に支配されがちです。
しかし、それは時に大きな過ちを犯すことになる、とコヘレトは言うのです。
「ダニエル書」との違い
旧約聖書の最後に書かれた「ダニエル書」は、「予言書」とも言われ、「コヘレトの言葉」とは反対に未来を知ることができるというテーマをもって書かれた書です。
「ダニエル書」が書かれたのは、バビロン捕囚の後、祖国に帰ることもできずにバビロニアによって支配弾圧を受けた時代でした。
その中でユダヤ人たちに「迫害に負けるな、それはもうすぐ終わる」「殉教した者たちは復活する」と希望を語っています。
新約聖書の「ヨハネの黙示録」も似かよっていて、西暦90年代のローマ帝国における皇帝ドミティアスの圧政時代に「迫害はこの政権で終わる」と書かれたものです。
これらの終末論には知者も同調してしまうことが多いそうです。
コヘレトの言葉はそれらの知者にたいする戒めの言葉も多く、「ダニエル書」と反対に「未来を知ることはできない」と言っています。
小友先生は、長年にわたる「コヘレトの言葉」の研究で、「ダニエルの書」との関係を見つけたそうです。
「コヘレトの言葉」はヘブライ語で書かれているのですが、8章で「解釈」という言葉をヘブライ語の「パータル」ではなく、アラム語のペシェルと書いています。アラム語は「ダニエルの書」の時代の言葉です。
これは「ダニエルの書」を意識してそうしたのだろうと小友先生は言っていました。
今をしっかり生きる
そして、コヘレトの言葉では、来世に焦点を当てることで今を生きることがおろそかになる、未来は知りえないのだから今をしっかり生きることを説いています。
また、「コヘレトの言葉」は死に関する言葉が多いですが、「死があるから生きる意味がある」と言っています。
確かな明日も見通せない今の時代に、これからどうなってしまうのだろう、と不安ばかりが大きくなってしまいますが、「コヘレトの言葉」が教えてくれるように、今あることに感謝して与えられた人生の日々をかみしめながら淡々と生きようと思いました。
「食べて飲み 楽しむことよりほかに 人に幸せはない」(コヘレトの言葉8章15節)
まとめ
「コヘレトの言葉」5回目の「今」をみつめるについて見てきました。
今の時代に必要な言葉なのではないでしょうか。厭世的ですが、真実の言葉だと思いました。
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