「風立ちぬ」に登場した堀越二郎の上司 黒川さん。
見た目は眼鏡をかけた小さなおじ様。この個性的なおじ様にモデルはいたのでしょうか?
このおじ様はどんな性格で、物語の中で二郎との関わりや二郎にどのような影響を与えたのでしょうか?
そして小さなおじ様には美人の奥さんがいます。
まるで「美女と野獣」ならぬ、「美女と小人」
今回の記事では黒川さんと美人の黒川夫人のセリフについても考察していきたいと思います。
目次
【風立ちぬ】黒川のモデルは?
風立ちぬ、俺の推しは黒川さん
かわいいの…ほんとにかわいいの… pic.twitter.com/pm3S5XMIYh— すね (@sne_honekawa) April 12, 2019
「風立ちぬ」に登場する黒川さんにもモデルがいるようです。
黒川さんのモデルになっているのは、堀辰雄の長編小説「菜穂子」のプロローグにあたる「楡(にれ)の家」に登場する黒川圭介という人物だと思われます。
堀辰雄の描いた黒川圭介の年齢は38歳。丸の内の商事会社に勤めていました。
そして古い屋敷に住み、菜穂子の夫であり菜穂子より背が低いという設定です。
宮崎駿監督の描いた「黒川」はどのような人物だったのでしょう。
風立ちぬで黒川とは?
宮崎駿が「風立ちぬ」で描いた黒川は京都大学出身で、二郎の入社した三菱の上司でした。
そして古い屋敷に住み、奥様より背が低いですね。
宮崎駿監督は黒川さんにとても愛着があるようです。こんな風につぶやいています。
「俺、黒川の声優やりたくなっちゃった」
「俺だなオイ(黒川は)」
出典 風立ちぬ(ロマンアルバム)
眼鏡をかけた顔や言動が宮崎駿監督ご自身に似ていたようです。
『風立ちぬ』の豆知識
堀越二郎の上司、黒川は宮崎駿が投影されているhttps://t.co/hmkcwKpjsepic.twitter.com/LzDIyJ2es1— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) May 23, 2018
ジブリの制作現場でも宮崎駿監督は才能があれば新入社員でも難しい仕事を与えたり、推薦したり「完璧です!」と黒川さんのようにニコニコするのでしょうか。
黒川と二郎のかかわり
黒川は二郎の人生に大きくかかわる人物です。
新入社員の二郎の才能を認めドイツへの視察にも二郎を推薦します。
菜穂子と二郎の結婚式を執り行い感極まり涙し、後半では二郎を特高からかくまったりもしています。
#お前らガチ泣きしたシーン晒せよ
『風立ちぬ』の結婚式 pic.twitter.com/FF5BNVY9bC— マミヤトシロー🍎 (@romanticju) November 7, 2018
ある日、スパイだと疑われていたカストルプと接触した二郎は特高(日本の秘密警察)にマークされてしましい、特高が突然二郎を訪ねてきます。
黒川は二郎を出張中で不在だと特高に嘘を伝え、二郎を自宅の離れに匿ってくれます。
実際に3・15事件で京大出身者が多く特高に捕まっていました。
黒川自身も、何も罪のない黒川の友人も特高に連れて行かれたと語っていました。
二郎は黒川にとって可愛い後輩であり仕事仲間であり友人でもあったのでしょう。
奥さんのセリフについても
黒川には美人の奥さんがいます。二郎が不在時には菜穂子の世話をしたり、夫の黒川だけではなく二郎と菜穂子も支えます。
そんな内助の功の黒川夫人のセリフについて考察していきたいと思います。
『風立ちぬ』の豆知識
堀越二郎の上司、黒川は宮崎駿が投影されているhttps://t.co/hmkcwKpjsepic.twitter.com/LzDIyJ2es1— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) May 23, 2018
「美しいところだけ、好きな人に見てもらったのね」の意味
黒川夫人は一番、菜穂子の近くで菜穂子の世話をしていたと思われます。菜穂子の結核は悪化していき日々弱々しくなる菜穂子を見ていたのでしょう。
それでも菜穂子は二郎の前では、体を起こして頬紅をさし、二郎に笑顔を見せ辛い姿を隠している姿も黒川夫人は見ていました。
黒川婦人は手紙を残し姿を消してしまった菜穂子について「美しいところだけ、好きな人にみてもらいたかったのね」と言います。
黒川夫人も同じ女性として菜穂子の「好きな人の前ではいつまでも美しくありたい」という気持ちが痛いほどよくわかったのでしょう。
当時の女性の生き方
「昔の人は生き方が潔いのだよ。必死に生きようともがく感じではなく、与えられた時間を精一杯生きている」と菜穂子役の瀧本美織さんにもアドバイスをしました。
菜穂子は、自分の限られた時間を感じ、病院を抜け出してまで二郎に会いにきました。そして仕事をしている姿をみているだけでも
幸せを噛み締めます。しかし、菜穂子の容体は悪化していきます。菜穂子は自分の弱っていく姿は二郎に見せまいと病院戻って行きました。
黒川夫人も菜穂子が弱っていく姿感じていました。菜穂子が手紙を残し立ち去っても追いかけたり、二郎に追いかけるように指示することもありませんでした。
1920年代からはモガと呼ばれるモダンガールが流行し、企業で働く女性が増えました。
一方で黒川夫人は、和装で夫である黒川さんを支える専業主婦でした。黒川夫人は夫と限られた時間の菜穂子と二郎を精一杯支えていたのでしょう。
菜穂子や黒川夫人のように当時の女性は生き方に迷いがなく、心に決めた生き方に美を感じ、行動を貫く強い女性だったのではないでしょうか。
黒川役の声優は?
黒川さんの声優は西村まさ彦さんが勤めました。西村まさ彦さん演技にも注目が集まっています。
黒川役・西村まさ彦の経歴
西村まさ彦さんはカメラマンアシスタントをしていましたが、地元である富山のアマチュア劇団に入団したことがきっかけで俳優を志ました。
代表作『古畑任三郎』で演じた今泉慎太郎で大ブレイクしています。
日本アカデミー賞最優秀助演男優賞やブルーリボン賞・キネマ旬報賞で助演男優賞をなど数多くの賞も受賞しています。
『風立ちぬ』で優しい上司夫妻を演じた西村まさ彦さんと大竹しのぶさん
1999年の森田芳光監督のJホラー『黒い家』でも夫婦を演じてますが『風立ちぬ』とは違いとても不気味で怖い夫婦でした😅#風立ちぬ #黒い家 pic.twitter.com/ZDN99UXnaP— 駿河yaman@竜とそばかすの姫はいいぞ! (@yaman5142) April 12, 2019
#風立ちぬ
西村まさ彦さん❣️ pic.twitter.com/2PhhvjzH1f— おこじょ (@kyubetyan3) April 12, 2019
近年では生田斗真主演の「俺の話は長い」にも出演されていました。
スタジオジブリ作品では【風立ちぬ】以外にも【もののけ姫】の甲六を演じられています。
もののけ姫といえばモロ(美輪明宏さん)の「黙れ小僧!」という一喝が有名ですけど、甲六(西村雅彦さん)も後々大河ドラマ真田丸で「黙れ小童!」と一喝します。しかも複数回。 pic.twitter.com/T8toLsRbRy
— ねぶそく (@nbsknos444) August 13, 2021
優しい上司からコミカルな役、シリアス、ホラーと演技の幅の広い俳優さんです。
まとめ
【風立ちぬ】の二郎の上司、黒川とはどのような人物なのか。そして黒川を支える黒川夫人のセリフについて考察してきました。
黒川夫妻は二郎と菜穂子の限られた幸せな時間のためになくてはならない存在でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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