【風立ちぬ】二郎の夢に登場のカプローニとは?悪魔と言われる理由についても

ジブリのアニメ映画「風立ちぬ」の中で、二郎の夢の中にイタリアの航空技術者 カプローニが登場します。

そして、宮崎駿監督はカプローニの声優を務めた野村萬斎に「カプローニは堀越二郎にとってのメフィストフェレス(悪魔)だ。」と演技についてアドバイスをしています。

二郎の夢の中にカプローニとはどんな人物なのか、なぜメフィストフェレス(悪魔)なのか、その理由についても考察していきます。

 

【風立ちぬ】二郎の夢に登場のカプローニとは?

二郎の夢に登場したカプローニとはどんな人物なのか、二郎の夢の内容と、なぜ二郎の夢にカプローニが登場したのかについて考察します。

二郎の夢の内容

飛行機に憧れていた少年時代、二郎は初めて夢の中の草原でカプローニに会いました。

二郎はカプローニに質問をします。

「近眼でも飛行機の設計は出来ますか?僕は近眼で飛行機の操縦が出来ません。」

カプローニは答えます。

「いいかね、日本の少年よ。私は飛行機の操縦はしない。私は飛行機を作る人間だ。設計家だ。」

そして二郎に

「飛行機は美しい夢だ。設計家は夢に形を与えるのだ。」

と言いました。

二郎は飛行機の設計者になることを志します。

それからカプローニはたびたび夢に出て来ます。

「空を飛びたいという人類の夢は、呪われた夢でもある。飛行機は殺戮と破滅の道具にもなる宿命を背負っているのだ。」

二郎はそれでも「僕は美しい飛行機を作りたいと思っています。」と飛行機を作ることを選びます。

ラストシーンでは初めて二郎がカプローニに出会った草原で、無数の戦闘機が空に吸い込まれていくのを見て

「生きて帰りしものなし、飛行機は美しくも呪われた夢だ。飛行機は殺戮と破滅の道具にもなる宿命を背負っているのだ。」とカプローニは言うのです。

二郎もカプローニも飛行機の設計、美しい飛行機を作る夢に取りつかれていたのです。

カプローニはどんな人?

「風立ちぬ」に登場したカプローニはイタリアに実在した航空技術者でありカプローニ社(1911年~1950年)の創業者である ジョヴァンニ・カプローニがモデルです。

「風立ちぬ」では二郎の夢の中に出てきて二郎に飛行機の設計者になる夢を与え、飛行機を作る欲望を与えました。

宮崎駿監督はカプローニの設計した飛行機を見て、カプローニをルネッサンス人と称しています。

二郎の夢にカプローニが登場した理由

二郎は、戦時中である日本に対し「なぜこの国は貧しいのか」と疑問に思っています。

そして「美しい夢」と表現している「乗客を乗せて飛ぶ美しい飛行機を作る」という願望もありながら、戦時下で殺戮の道具となる飛行機作り「呪われた夢」に没頭します。

カプローニが登場することで、2つの夢を同時に抱える飛行機の宿命を視聴者にわかりやすくさせていたのだと思います。

実際に生きた年代も国も違う二郎がカプローニを尊敬していたのかは定かではありません。

しかし、2人とも飛行機に憧れ、同じ夢を抱いていました。

カプローニを登場させたのは空を飛ぶことが好きな宮崎駿監督の趣味だったのかもしれません。

しかしカプローニを登場させることによって二郎の「飛行機を作る」という夢の表現と矛盾をより深いものにしたのだと思います。

「紅の豚」との関係

空を飛ぶことが大好き(実家は飛行機製造の会社)なことでも有名な宮崎駿監督ですが、こんな余談があるのです。

カプローニ社の創業者 ジョバニ・バッチスタ・ジャンニ・カプローニの曾孫にあたる人が「紅の豚」を観て、1936年のカプローニ社の社史と図面を宮崎駿監督に送ったそうです。

カプローニは実際に大戦時中も役に立たない飛行機を作っていました。

劇中にもカプローニは9葉の巨大な旅客機(カプロニCa.60トランスエアロ)で100人の乗客を乗せて大西洋を越えると言って二郎に夢をみさせてました。

紅の豚がなければ、カプローニは「風立ちぬ」には当時してこなかったでしょう。


悪魔と言われる理由についても

宮崎駿監督はカプローニを二郎のメフィストフェレス(悪魔)と表現しました。

メフィストフェレスとは何なのか、なぜ二郎にとってのメフィストフェレス(悪魔)なのかを考察します。

メフィストフェレスとは?

ドイツの小説家ゲーテの「ファウスト」に出てくる悪魔・メフィストフェレスを宮崎駿監督は指したのでしょう。

「ファウスト」に出てくる主人公 ファウスト博士は悪魔のメフィストフェレスと魂を売り渡し契約を交わします。

若さとエネルギーを手に入れ人生のあらゆる快楽や悲観を体験します。

最後にファウスト博士は死に、契約により魂をファウストに服従させられるはずだったが、かつての恋人グレートヒェンの天上の祈りによって助けられます。

二郎にとってのメフィストフェレス(悪魔)とはどういう意味?

カプローニは二郎に「美しい飛行機を作る」という欲望を与えます。

そして二郎は飛行機を作るという快楽を得ます。

しかし、二郎の作った飛行機は戦争の道具となり、多くの人を殺めました。

その結果、二郎は悲観を体験し、最愛の人、里見菜穂子も失います。

しかし、二郎は菜穂子の「生きて」により再び二郎の中に風が吹き、死ぬことはありませんでした。

二郎はファウストであり、二郎に欲望と飛行機、快楽と悲観を与えたのがカプローニ、メフィストフェレスであり、里見菜穂子がグレートヒェンなのだと思います。

まとめ

今回は「風立ちぬ」に登場するカプローニとはどのような人物なのかについて見てきました。

また、メフィストフェレス(悪魔)の意味、なぜカプローニが二郎のメフィストフェレスなのかについても考察しました。

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