映画MINAMATAで写真家ユージン・スミスとは?元妻アイリーンについても

「MINAMATA」は、2021年2月5日に公開されたアメリカの映画です。

1970年代、水俣病の惨状を取材し世界に配信したアメリカ人写真家ユージン・スミスの闘いを描いています。

ジョニー・デップがスミスを演じたことで話題になりました。

日本では2021年9月に全国公開されています。どんな映画なのか、また、ユージンスミスとはどんな人物なのか、再婚相手だったアイリーン・美緒子・スミスについても含めて見ていきます。

 

映画「MINAMATA」でユージン・スミスとは?

ユージン・スミスは、映画「MINATAMA」に出てくる写真家ですが、実在した人物です。

 

小学校時代に社会の授業で学ぶ「水俣病」。

ユージン・スミスは、熊本で発生した日本四大公害の一つである水俣病患者の写真を撮り続け、多くの人の心を動かす瞬間をカメラに収めたフォトジャーナリストです。

ユージン・スミス氏と元妻のアイリーン・美緒子・スミス氏 ↓


引用:Wikipedia

ユージン・スミスさんのプロフィールや経歴をお知らせします

ユージン・スミスのプロフィール

名前

ウィリアム・ユージン・スミス(享年59歳)

生年月日

1918年12月30日(享年59歳)

出身地

アメリカ合衆国 カンザス州  ウィチタ

職業

フォトジャーナリスト

 

ユージン・スミスの生涯

カンザス州ウィチタの小麦業を営む親の元に生まれたユージン・スミス氏。

父親が恐慌による破産から散弾銃により自殺をしており、早い段階で人命や医療・ケアなどに興味を持っていたそうです。

第二次世界大戦中は戦争写真家として日本やサイパンに派遣されており、沖縄戦での砲弾爆風で全身にけがを負い、2年間療養しました。

1961年に日立製作所のPRを撮るために来日し、その時に改めて日本の写真を撮りたいという願望を持つようになります。

1970年に、ニューヨークで行われた富士フィルムのCMでのインタビューで、通訳を務めていたスタンフォード大学の学生であったアイリーン・美緒子・スミスと出会い、1971年来日した際に日本で婚姻届けを提出し、披露宴を挙げました。

その後熊本県水俣市に移り住んだユージン夫妻。当時患者と公害の原因を引き起こした会社であるチッソとの裁判が行われており、社会的にも注目されていた水俣病の患者やその家族を写真に収めていました。

そんな中、千葉県にあるチッソ五井工場で、チッソ社員による暴行を受け、ユージンは頸椎に損傷を追い、片目を失明する大けがを負いました。第二次世界大戦中の沖縄戦で受けた負傷、さらにはチッソ事件による負傷もあり、晩年は頭痛やアルコール中毒に悩まされていたそうです。

1974年にニューヨークへ帰国し、写真集「MINAMATA」を出版。これが世界的に大反響となりましたが、プライベートではアイリーンと離婚し、その時期は波乱万丈であったようです。

離婚後は大学の教師として教鞭をとっていましたが、1978年に発作により逝去。最後まで日本を恨むことは無かったそうです。

 

ユージン・スミスの経歴

母親が若いころに写真家を目指していたため、ユージン・スミス氏もその影響を大きく受けており、高校生の時には地元新聞社にすでに写真を買ってもらうなど、若いうちからその片鱗を見せていました。

第二次世界大戦中にサイパン、沖縄、硫黄島などに写真家として派遣されたユージン・スミス氏。

戦争のリアルを写真に収めていました。

のちに自分が写真を撮る理由として、「人間の精神と肉体を無惨にも破壊する戦争への告発であって欲しかった」と語っています。

戦後、雑誌「ライフ」で人の日常生活や人間性をフォトエッセイという形で投稿していました。しかし、「ライフ」との折り合いが悪くなったと同時に、自分が撮りたい写真はどのようなものなのかを突き詰めていきます。

そのようなときに、日本の日立製作所から、戦後立ち直りつつある日本の姿、そして製作所で働く人の写真に収めてほしいという依頼があり、日本へ撮影に行きます。

1年間に及ぶ撮影が終わった後も、日本を撮りたいという気持ちが残っていました。

あるとき、熊本県の水俣市で公害問題が大変なことになっていると知人から情報を耳にします。ユージン・スミスは日本の漁村を撮りたいという気持ちがあったため、水俣市に向かいます。

それにしても戦後とはいえ外国人が民家の中に入り、被害者の写真を撮ることは大変だったのではないでしょうか。

水俣病患者やその家族を撮り続けたユージン・スミスでしたが、公害の原因となった会社である「チッソ」の五井工場を訪問した際に、社員からの暴行を受け、片目失明など重傷を負うことになります。

「チッソ」の五井工場で受けた暴行の後遺症や、アルコール中毒に悩まされながらも、1973年には日本の西武百貨店で「水俣 生―その神聖と冒涜」を開催するなど、精力的な活動を見せていました。

1975年には写真集「MINAMATA」の英語版を出版し、こちらが世界中で大反響を呼びました。

 

「MINAMATA」の出版後は結婚していた妻アイリーンと離婚し、アリゾナ大学で教鞭をとっていましたが、1977年に脳溢血で倒れます。

一時的に回復しましたが、1978年10月15日に発作により享年59歳で死去しました。ユージン・スミス氏死後1980年には日本語版「写真集 水俣」が出版されました。

 


元妻のアイリーンについて

ユージン・スミス氏は、1970年にニューヨークで行われた富士フィルムのCMでのインタビュー時にユージン・スミス氏の通訳を行ったアイリーン・美緒子・スミスと出会います。

出会った当時、アイリーン・美緒子・スミスはスタンフォード大学の学生でした。翌年の1971年、日本で婚姻届けを出し、挙式をしています。結婚当初、ユージン・スミスは51歳、アイリーンは20歳とかなりの年齢差がありました。

二人は付き合うようになりましたがユージンの愛は強烈で激しいものだったそうです。

夏休みが終わり、カリフォルニアの大学に戻ろうとしたアイリーンに、ユージンが「もし君が行くのなら、僕は死ぬ」と言ったそうです。

アイリーンはユージンが無償の愛を与えてくれたと言っています。どんなに怒ったり彼を批判したりしても、全て好きなようにさせてくれたということでした。

二人が出会ったときにはユージンはすでに身も心もボロボロで、ユージンををなんとか生き伸びさせるためにアイリーンは頑張りすぎて精魂尽き果ててしまいました。

ユージンは離婚の半年後に亡くなりました。

アイリーンは離婚後もユージンとアイリーンが撮影した水俣の写真の著作権を管理する団体、「アイリーン・アーカイブ」を設立など、ユージン・スミスとの作品や公害問題に繋がる活動を続けています。

ユージンからもらった指輪を今も右手にしているそうです。素敵なエピソードですね。

また、現在はアメリカ国籍でありますが、京都市に在住し、日本の脱原発を目指すNPO法人「グリーン・アクション」の代表を務め、市民活動家・反原発活動家として活躍されています。

最近では水俣病について学ぶ学習活動を続けている田園調布学園の生徒たちとオンラインで交流し、映画『MINAMATA―ミナマター』の公開に関連しての特別授業を行いました。

●映画『MINAMATA―ミナマター』の公開を機にあちこちでお見掛けするようになりました。今もうつくしいアイリーンさん。

 

●アイリーン役を務めたのは美波さん ↓

 

ジョニー・デップの演技についても

 

ジョニーデップは、最近ではアンバー・ハードとの離婚裁判で話題になっていました。敗訴したことで、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズからの降板を余儀なくされるなど影響も受けています。

ジョニーデップはユージンスミスに以前から興味があったと言います。

2020年第70回ベルリン国際映画祭での記者会見より

W・ユージン・スミスに、昔からとても興味がありました。彼が辿ってきた人生や、彼が体験したこと、そして、何を犠牲にして、あのような瞬間を写真に捉えることができたのかなどを知りました。
そして、水俣に関する記事を読み、知識を深めていくうちに、実際にそれが起こったという事実に衝撃を受けました。しかも、その影響は解決されたわけではなく、未だに続いているということは、それ以上に衝撃的なことです。一人の関心を持つ者として、この歴史は語り継がれなければならないと思いました。映画の持つ力をフルに活用して、伝えたいメッセージを発信することが、私も含めて、ここにいる我々の願望でした。
我々は皆、ただの一片のホコリで小さな力なのです。もし私たちが窮地に立たされたとき、誰かが率先して、巨大な壁を壊そうとすれば、きっと大勢の人々が後に続いてくれるはずです。

 

ジョニーデップ主演への期待

役柄に真摯に取り組むジョニーデップがユージンスミスを演じることに期待が深まります。

水俣市はPRに慎重の方針

水俣市はPRに慎重な考えのようです。市のたどった道を多くの人に知ってもらうことは大事なことではないかと思うのですが。風化させないためにも。


まとめ

日本の公害問題に大きな影響を与え、人々の心を動かし続ける写真を撮り続けてきたユージン・スミス氏の生涯についてみてきました

映画「MINAMATA」でジョニー・デップはどんな演技をするのでしょうか。

納得できる作品にしか出演しないデップですが、デップのような有名人がこのような映画に出演することは意味のあることだと思います。

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