【おちょやん】高城百合子のモデルは?駆け落ちのエピソードも

 

朝ドラ「おちょやん」で、ヒロイン千代(杉咲花)は道頓堀の芝居茶屋で奉公をするようになります。

そこにはたくさんの芝居小屋があり、千代はある女優を見てあこがれます。

その女優は高城百合子(たかしろゆりこ)でした。演じるのは井川遥(いがわはるか)さん。

高城百合子にモデルはいるのでしょうか。調べてみました。

くまた
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【おちょやん】高城百合子のモデルは?

その美貌と情熱的な演技で観客を魅了するスター女優、高城百合子。映像の世界に移り、鶴亀撮影所でもスター女優となります。

演じるのは井川遥

井川遥さんが役を演じていて、ピッタリだと思いました。今でも井川さんにあこがれて女優になりたいと思う少女がたくさんいるのではないでしょうか。

井川遥さん ↓


引用:映画.com

高城百合子は芸術のために自由な人生を突き進み、時に周囲の雰囲気を無視した発言をするのですが、その一途な姿に、千代は大きな影響を受けるのでした。


浪花千栄子のあこがれた女優

実際に高城百合子のような存在がいたかというとそうでもないようです。

千代のモデル浪花千栄子について少し見ていきましょう。

千代のモデル・浪花千栄子は、おちょやんと呼ばれて仕出し弁当屋で働いていました。

芝居茶屋や劇場にお弁当を届ける仕事をしていましたが、慣れてくると芝居を覗くようになります。

その中で、千栄子が惹かれた女優は、富士野蔦枝(ふじのつたえ)三好英子(みよしえいこ)、玉村歌路(たまむらうたじ)などでした。

富士野蔦枝

富士野蔦枝さん ↓


引用:https://www.wikiwand.com/ja/松竹

富士野蔦枝は、当時の松竹が「松竹女優養成所」を作り、女優の募集を開始した1期生となります。

同期に東愛子や常盤操子などもいました。

「女優総まくり」という本には、

「観客の感受性を自分の掌中に奪い集めていく才能は確かに松竹の女優中では唯一である。しかしその代わり舞台以外に男性の感情性を自由に惹きつけていくこともさすがにエライものだ」

と書かれていました。

女優としても女性としても魅力的だったという事でしょう。

三好英子

三好英子さん ↓


引用:http://birthday.worksb.biz/

以下のような映画にも出演し、名わき役として有名でした。

●1946年「わが青春に悔なし」
●1952年「カルメン純情す」
●1959年「お早よう」

玉村歌路

玉村歌路さん ↓

玉村歌路は、若い頃は近代劇に出演していました。1913年には帝国劇場で上映された「ファウスト」に、リイスヘン役で出演しています。

後に大阪に移り、道頓堀の弁天座に出演しました。浪花千栄子は、この時に玉村歌路の名演に引き込まれたそうです。

高城百合子はオリジナルキャラクター

千栄子が芝居を覗くようになっても、これらの女優と話す機会などありません。また、女優になりたいとも 思いませんでした。

なので、この時点では高城百合子は「おちょやん」のオリジナルキャラクターだと思われます。

後に千栄子は弁当屋をやめ、京都のカフェーで働き始めますが、その時の同僚に誘われて芸能プロダクションに所属して女優の道を歩み始めます。

駆け落ちのエピソードから考える

千代(杉咲花)は、山村千鳥から紹介してもらい、鶴亀撮影所で映画女優として修行することになりますが、この時高城百合子は鶴亀撮影所でもスター女優になっていました。

鬼才映画監督の村川茂のもと、「太陽の女カルメン」の撮影をしていましたが、監督のダメ出しに不穏な空気が流れます。

百合子は監督と衝突して撮影を抜け出すのでした。そしてなんと芝居の相手役の賛成と駆け落ちしてしまうのです。

そのエピソードから浮かび上がる女優がいます。

岡田嘉子です。

岡田嘉子は、「椿姫」の撮影中に相手役の竹内良一と駆け落ちした、というエピソードがあるのです。

というわけで、岡田嘉子がモデル、と言えるのかもしれません。

岡田嘉子について見ていきます。

岡田嘉子

1902年に広島県広島市細工町(現:広島市中区大手町)で生まれました。

母方の祖父がオランダ人の血を引くため、エキゾチックな美貌で人目を引きます。


引用:Wikipedia

北海道小樽の「北門日報」の婦人記者として入社し、慈善演芸会の催しで頼まれてヒロインに扮して出演すると際立った美貌が評判となりました。

父が芸術座の島村抱月や劇作家の中村吉蔵と知り合いだった事から、父に連れられて上京し中村の内弟子となります。

有楽座「カルメン」の端役で初舞台を踏みました。

後に日活で、大作映画「椿姫」のヒロインに抜擢されますが、ロケ現場で群集を前に村田監督から罵倒に近い叱声を浴びます。

私生活の悩みや撮影のことを相手役の竹内良一に相談したことから衝動的に駆け落ちします。

大きなスキャンダルとなりますが後に竹内と結婚。日活を解雇され映画界から閉め出されたことから、岡田嘉子一座」を旗揚げし2年間地方巡業します。

その後松竹蒲田撮影所と契約し、いくつかの作品に出演しますがうまくいかずに再び舞台女優に転向、舞台の演出家の杉本良吉と恋愛関係になり、杉本が共産主義者だったことから二人はソ連に亡命します。

二人とも結婚していたのに別の相手と亡命とはすごいですね。

ソ連では不法入国の2人に厳しく、スパイ容疑を掛けられ岡田は自由剥奪10年の刑、杉本は銃殺刑を受けます。

釈放後はモスクワ放送局に入局し、日本語放送のアナウンサーを務め、また、演劇者として舞台に再び立っていました。

同僚の滝口新太郎と結婚もしています。

後に日本に帰国しますが、ペレストロイカの時期に再びソ連に行き生涯を終えました。

なんともすごい人生でした。

しかし、ここに書いた以外にももっとたくさんの驚くようなエピソードがあるのです。大正・昭和初期にこんなすごい女性が日本にいたのか、と驚きます。

こちらから、岡田嘉子の人生がご覧になれます ↓


「おちょやん」で高城百合子の役どころ

高城百合子を演じているのは井川遥さんです。

12月9日の放送では高城百合子はイプセンの「人形の家」のノラを演じていました ↓

誇り高いオーラを持つ女優

井川さんは役作りのため、大正・昭和時代に活躍した女優の映像をたくさん見たそうです。

優雅で謙虚だけれど誇り高い、そのオーラを醸し出せたら、と話していましたが、すでにオーラが漂っていますね。

12月14日には、なぜか乞食の小次郎たちのそばで蓆(むしろ)をかぶって登場。

お弁当の残りを持ってきた千代が新しい乞食かと思って観ていると、蓆を取ったその姿を見て驚きます。

高城百合子は、舞台役者から映画に転向するように命じられ、反発して逃げていたのでした。

12月15日の放送では、千代が高城百合子を岡安でかくまいます。

窓の近くに座って外を眺め続ける百合子。

どこか浮世離れした百合子は、かくまってもらっている立場なのに突然「お腹が減ったわ」と当然のようにご飯を要求したり、葡萄酒しか飲まない、と言ったりするのでした。

女優になったのは身体の内側から「そうしろ」という声が聞こえたからそうです。

千代が「人形の家」の一説をそらんじて、古くなった台本を見せ、これを読みたくて字を覚えたのだ、と言うと、百合子もセリフを返し、演技を始めます。

千代やのぞき見していたお茶子たちが拍手します。

百合子は千代に、そんなにお芝居が好きなら自分でやってみたら、と言い残して岡安を出ていくのでした。

千代のことを忘れていた百合子

1月18日の放送で、高城百合子が再び登場しました。

鶴亀撮影所の看板女優として活躍している百合子さんですが、千代のことをすっかり忘れていました。

高城百合子は「太陽の女カルメン」に主演することになっていて、売れっ子監督の村川茂(森準人)と一緒に取材を受けながら歩いていました。

じっと見つめる千代のほうを向きますが、素通りしてしまいます。

あとで助監督の小暮(若葉竜也)が、千代のことを話すと、「知っているような…」と考え、飼っていた九官鳥のレイチェルに似ていたから知っていた気がしたんだわ、と言うのでした。

道頓堀で千代に助けてもらった恩をすっかり忘れているのが、高城百合子らしいですね。

レイチェルと高城百合子。チャンキー松本さんの切り絵、素敵ですね。 ↓

監督の村川と衝突して駆け落ち

先ほどの岡田嘉子のエピソードと被るのが「監督と衝突して駆け落ち」の部分です。

高城百合子は、「太陽の女カルメン」の監督の村川から何度も撮り直しを言われ、叱責もされます。

これは、岡田嘉子が「椿姫」の撮影で村田監督から叱責を受けたことと同じです。おまけに相手役の俳優と駆け落ちをするのですから、この部分の高城百合子のモデルは岡田嘉子と言って間違いないでしょう。

16週では小暮真治とソ連に亡命

77話で高城百合子は、小暮真治(若葉竜也)と共に突然千代と一平を訪ねてきます。

二人は結婚していて、芝居をしながら全国を回っていて、列車が雪で運行しなかったため、千代を頼ってきたのでした。

監督と衝突して相手役の俳優と駆け落ちしたはずなのになぜ?と思いましたが、その後紆余曲折あって小暮真治と結ばれたのでしょう。

4人は楽しい夜を過ごします。しかし百合子と小暮は特高に追われる身でした。

千代が鶴亀新喜劇の芝居「頑張れ!集配婆さん」の話をすると、百合子は「最低なお芝居ね」と相変わらずズバズバものを言います。

「戦争に総じてお涙頂戴するような、客に媚び売るような芝居、あたしはしたくないの」というのです。

百合子は、ソ連に行って自分のやりたい芝居をすると言い、「あなたも一緒に来ない?」と千代を誘います。

千代は、自分は喜劇役者だから、お客さんに喜んでもらえればそれでいいのだ、ときっぱりと断ります。

百合子は、「あなたとは分かり合えないわね」と言いますが、「あなたはあなたの信じることを貫きなさい」と千代に言うのでした。

その後小暮真治と高城百合子が、千代と一平の家に入ったとの情報を聞きつけて特高がやってきます。

特高の荒木を演じているのは、千葉哲也さんでした。「エール」で音楽学校の演出担当だった俳優さんです。

千代たちの家を探し回って押入れを開けようとしたところで78話は終了しました。

関連記事:【おちょやん】小暮真治のモデルは誰? 千代の初恋相手の助監督と恋愛関係について

79話では千代の機転で押し入れに隠れた小暮と百合子は見つからずに済みます。

押入れを開けると寛治がいて、千代は「すんまへん!見逃しとくなはれ」と言い、この子は世をはばかる隠し子で、父親は陸軍の偉い人だという芝居をしたのです。

小暮と百合子は押入れのさらに奥に隠れていたため、事なきを得ました。

次の朝暗いうちに二人はソ連に向かって旅立ちます。

まとめ

朝ドラ「おちょやん」で、井川遥さんが演じる、高城百合子(たかしろゆりこ)のモデルについて見てきました。

高城百合子のはっきりしたモデルはいませんでしたが、浪花千栄子のあこがれの女優は、富士野蔦枝(ふじのつたえ)、三好英子(みよしえいこ)、玉村歌路(たまむらうたじ)などでした。

また、駆け落ちのエピソードから、岡田嘉子がモデルとも考えられました。

うさこ
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