緊急事態宣言が発令されてからも新型コロナウイルスの感染が収まらずにますます増え続けています。新型コロナウイルスはなぜ発生し、いつ収まるのでしょうか。動物学者ジェーン・グドール博士や環境学者石 弘之氏による見解から見えてくるものを探りました。
目次
新型コロナウイルスはなぜ発生し収束見込みはいつなのか?
自然破壊や過密社会が流行の原因
霊長類学者ジェーン・グドール氏の見解
イギリス出身の霊長類学者ジェーン・グドール博士は、新型コロナウイルスの発生は、人類が自然を無視し、動物を軽視したことに原因があると指摘しました。
ナショナルジオグラフィックの新ドキュメンタリー番組「ジェーンのきぼう」公開に先駆けて行われた電話会見での発言だそうです。
彼女によると、
「例えば、われわれが森を破壊すると、森にいるさまざまな種の動物が近接して生きていかざるを得なくなり、その結果、病気が動物から動物へと伝染する。そして、病気をうつされた動物が人間と密接に接触するようになり、人間に伝染する可能性が高まる。
動物たちは、食用として狩られ、アフリカの市場やアジア地域、特に中国にある野生動物の食肉市場で売られる。また、世界中にある集約農場には数十億匹の動物たちが容赦なく詰め込まれている。こうした環境で、ウイルスが種の壁を越えて動物から人間に伝染する機会が生まれるのだ。」
ということです。
環境学者の石 弘之氏の見解
環境学者の石 弘之(いし ひろゆき)氏によると、「コロナウイルスはこれまでに 3 回出現し、パンデミック(世界的流行)を引き起こしています。最初は 2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)、次が 2012年のMERS(中東呼吸器症候群)、そして今回の新型コロナウイルスです。ウイルスが世代交代を繰り返しているうちに、突然変異が蓄積して重篤な症状を起こすように変異したのでしょう。」ということです。
また、「感染症は環境の変化から流行するというのが持論です。西アフリカのエボラ出血熱の大流行は熱帯林の破壊が原因であり、マラリアやデング熱などの熱帯病は温暖化で広がっています。
今回の新型コロナウイルスに関していえば、人間がこれほどの過密社会をつくらなければ、彼らも流行を広げられなかったでしょうね。」とも述べています。
※二人に共通しているのは人間による環境破壊が原因であるという事です。森林破壊により動物が近接して生息するようになったこと、人間との接触も増えたこと、そして過密社会により流行が爆発的に広がったことが原因と考えられるようです。
新型コロナウイルスの収束見込みはいつなのか
収束について石 弘之氏は、はっきり述べていませんが、ワクチン開発に18か月かかること、また、似通ったウイルス、SARSが2002年11月に始まり、 2003年7 月にWHOが終息宣言したことを挙げています。SARSの流行期間は約 170日間だったそうです。
著書「感染症の世界史」では、環境学の立場から約 20 万年前にアフリカで誕生した私たちの祖先が、数多くの病原体と戦いながら今日に至るまでの感染症の歴史について述べています。
パンデミックから学べること
ジェーン・グドール氏は、ロックダウン(首都封鎖)の状態になって、私たちが目を覚まし、自分たちの生き方をどうすれば変えられるか考えるようになれば、と期待しているそうです。
私たちが食べている食べ物はどこからどのようにしてきたのか、なぜ安いのか、環境に悪影響を及ぼしていないかなどを考えること、世界から貧困をなくすために何ができるのかを考えることも必要だと述べています。
確かにこの機会に今まで目を向けてこなかった問題について考えることが必要なのかもしれませんね。自分が大変な時に他の人や環境のことを考える余裕などないと思いがちですが、他の人のために何ができるかを考えることがひいては自分のためなのだと聞いたことがあります。
ジェーン・グドール博士について
ジェーン・グドール博士は1934年イギリス生まれ。幼いころから動物が好きで、リスや鳥の観察をしていた。成長しケニアに行き、人類学の権威ルイス・リーキー博士に出会いました。リーキー博士は類人猿のフィールド調査を行う人材を探していて、ジェーンをその役に抜擢しました。
ジェーンは東アフリカのゴンベでフィールド調査を始め、チンパンジーについて数々の目覚ましい発見をするのでした。
世界的に有名な英出身の霊長類学者、ジェーン・グドール博士(86)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は… https://t.co/iPsa9iXoyP
— AFPBB News (@afpbbcom) April 12, 2020
石 弘之(いし ひろゆき)氏について
1940年東京生まれの環境問題研究者。朝日新聞編集委員を経て東京大学教授、駐ザンビア特命全権大使等を歴任しました。
カドブンのインタビュー記事はこちら
感染症の世界史 石 弘之 (著)
内容紹介(Amazonのサイトから)
克服できる日は来るのか。40億年の地球史から人類と微生物の関係をたどる
地上最強の地位に上り詰めた人類にとって、感染症の原因である微生物は、ほぼ唯一の天敵だ。
医学や公衆衛生の発達した現代においても、日本では毎冬インフルエンザが大流行し、
世界ではエボラ出血熱やデング熱が人間の生命を脅かしている。
人が病気と必死に闘うように、彼らもまた薬剤に対する耐性を獲得し、
強い毒性を持つなど進化を遂げてきたのだ。
40億年の地球環境史の視点から、人類と対峙し続ける感染症の正体を探る
まとめ
大昔から私たちの身近には常に感染症の危険がありましたが、それを加速させたのは人類で、新型コロナウイルスは人類の行動によって大流行しているのかもしれません。
そして外出もままならない今の状況下で、なぜこのようなことが起きたのか、私たちにできることは何かを考えて行動していかなくてはと思いました。
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