ゴールデンカムイで有古の初登場は漫画の何巻?菊田との関係についても

 

第七師団に途中合流したアイヌ出身の軍人、有古。

戦時中、アイヌでありながら軍務にあたった人物は、キロランケなど作中にも存在していますが、今なお軍人として席を置いている青年です。

今回は、有古の登場から振り返り、作中に置かれる有古の立場、菊田との関係、登別が舞台となった「有古の庭」について掘り下げていきたいと思います。

 

ゴールデンカムイで有古の初登場は漫画の何巻?

 


引用:https://goldenkamuy.fandom.com/wiki/Rikimatsu_Ariko

有古力松(イポプテ)とは?

 

帝国陸軍北海道第七師団に所属する軍人で、階級は一等卒です。北海道登別周辺を地元とするアイヌで、和名は「有古力松」。

アイヌ名は「イポプテ」で、「煮立たせる」という意味の言葉だそうです。

第七師団のなかでも屈指の大柄で、肌の色が浅黒いのと、顎ひげ、太めの三角眉毛が特徴です。

見た目や体格に対して、性格は物静かで温厚という印象を受けます。

正義感もあり、菊田特務曹長と並んで、第七師団の内では数少ない常識人です。

実は27巻268話によると、アイヌの金塊をめぐって「のっぺら坊」に殺されたとされる7人のうちの一人、有古シロマクルの息子でもあります。

 

有古の初登場は漫画の何巻?

 

 

初登場は20巻192話。登別温泉での長期療養を追え、菊田特務曹長と共に第七師団に合流するところでした。

この時、療養地である登別温泉よりさらに山奥の温泉(現在のカルルス温泉)で、下駄らしき音と妙な上半身の模様の男を目撃したと報告します。

しかし、最近まで鶴見と行動していた宇佐美や二階堂にはぐらかされてしまい、菊田と共に調査に向かいます。

アイヌからの情報提供もあり、その正体が刺青の入った囚人のひとり(都丹庵士)だと判明します。

その後、別行動で現場を確認していて都丹と交戦になった菊田・宇佐美・二階堂と地獄谷で合流。

逃げる都丹を確実に捕らえるため一人で追跡し、追い込んだ先で雪崩を引き起こすことで仕留めることに成功しました。

その際に、都丹の刺青人皮と彼の着用していたスカーフを戦利品として菊田に渡し、第七師団へ復帰するための「手土産」としました。

 

有古は二重スパイ

 

実は前述の都丹ものとして持ち帰った刺青人皮は、土方側からの指金で持たされた、関谷という別の囚人のものでした。

スパイとして一度第七師団に戻り、刺青人皮を盗み出す役目を負わされたためです。

ところが、刺青人皮を盗み出す最中、鶴見中尉にそれが見つかってしまいます。

鶴見側からすると、都丹の刺青はハナから写しがあったため、有古がもちかえったものが偽物(別人の物)と分かっており、有古の動向を疑っていたからです。

そのあたりの事情を知らない有古が、都丹を始末したというのに都丹ではない人皮をもってきたということは、別勢力(この場合土方側から)のスパイと考えて普通間違いありませんよね。

鶴見は有古の親族すべてを把握しており、制裁には和人もアイヌも関係ないとし、土方側へのスパイとして、偽の刺青人皮を含む6枚をもたせ、土方へわざと合流させることにしました。

一方、土方もバカではありません。有古が持っていった刺青人皮が偽物だとバレるとわかったうえで、鶴見のもとへ返していました。それは、偽物の刺青人皮を押収するためです。

結局こうして有古はどちら側にも信用されていない、危険な立場の二重スパイとなってしまいました。

 


菊田との関係についても


引用:ピクシブ百科事典

菊田とは?

 

本名は菊田杢太郎といい、帝国陸軍第七師団に所属する軍人です。階級は特務曹長。

日露戦争・奉天会戦の後から長期療養のため軍務を離れていましたが、有古と共に復帰します。

いつも軍服の上に長い外套を着こんでいるのが特徴的ですが、その下には、日露戦争で倒したロシア将校から奪った銃をいくつも携帯しています。

実は、軍の中央部が鶴見中尉の元に送り込んだスパイで、鶴見中尉が金塊を手に入れたら殺害して奪う予定でした。

 

有古と菊田の関係は

 

21巻207話の「塹壕から見えた月」で菊田から語られるところによると、二人は日露戦争の奉天会戦にて、塹壕を爆撃された際に重傷を負い、救助が来るまで声を掛け合って乗り越えたパートナーでした。

有古の顔面の右額から左頬に走る大きな傷跡はその時のものです。

この際に二人が交わした会話については、28巻272話「イポプテ」にて詳細が描かれています。

菊田は有古の父親が亡くなった経緯を知っているので、この時に有古から父のマキリについての話を聞いていて、胸が痛んだことでしょう。

この奉天会戦の塹壕爆撃では、別のところで鶴見による月島のための鶴見劇場が上演中でした。その間にあったことだと思うと、どこか群像劇的な見方ができますね。

その後、24巻240話「菊田特務曹長」にて、札幌で連続娼婦殺害事件を追っていた菊田ですが、偶然にも土方たちと行動していた有古を見つけます。

土方・鶴見どちらの勢力にも信用されていない、危うい立場の自分に接触することを有古は咎めますが、菊田は「俺につけ」と提案。

「お前を信じているのは俺だけだ」「脅された親戚たちのことも忘れろ」「どちらについて行っても破滅しかない」と話し、自分が中央のスパイであることを明かします。

この時、菊田につくことにしたとはっきり明言した様子は描かれていませんでした。

 

有古の庭(登別)で雪崩を起こしたのはなぜ?

 

有古の庭とは?

 

 

有古自身は、日露戦争の2年前に起きた「八甲田雪中行軍遭難事件」におけるアイヌの捜索隊の一員だった過去があり、雪深い山の中での捜索・追跡を得意としています。

特に登別周辺は地元であることもあり、登場人物の中でも地の利は一番にあります。

実際に都丹が逃げ込んだ古い坑道は、小さいころに入ったことがあると言っていました。

そのため、菊田に「有古の庭」と表現されたのでしょう。

 

下駄男は都丹庵士


引用:ピクシブ百科事典

 

都丹庵士とは、網走監獄を脱獄した、刺青をもつ囚人のひとりです。

監獄へ収監された罪状については、作中では明言されていません。

耳に付けた収音機のようなものが特徴で、硫黄山での苦役で視力を失っており、舌を鳴らした反響音(よく下駄の音に間違われる)で周囲の障害物等を正確に把握して戦います。

この舌の音と、暗中で視界が悪い中襲撃するスタイルのために、下駄男と呼ばれることがあります。

 

有古が雪崩を起こしたのはなぜ

 

有古は寡黙な男で、考えをあまり語って聞かせてくれることがありませんので、雪崩を起こした真意については不明です。

雪崩が起きるには、坂の角度や周辺に高い木が密に生えていないなどの条件があるようです。その他にもひび割れや雪庇などの前兆があれば、より雪崩が起きやすくなってきます。

盲目の都丹に対して、雪崩は一度起こってしまえば逃れるのが困難であり、また早急に救出できれば外科的治療をせずに回復できると言えるのではないでしょうか。

実際雪崩に埋没した場合の生存率は、救助時間が18分以内と早ければ、高い数字を出しています。

加えて有古は前述のとおり「八甲田雪中行軍遭難事件」の捜索隊にも参加しており、遭難者の救助経験があります。

有古はわざわざ雪崩を起こして追い詰め倒した都丹を、他の囚人について聞き出せるかもしれないと、一度は救出します。

宇佐美や二階堂にはぐらかされてしまい、ほとんど情報を手に入れられなかったため、都丹に事情を聴きたがっていたとしてもおかしくありません。

そのために、雪崩を引き起こしたのではないのか、というのが個人的な見解です。

しかし、この方法については、菊田が「すべて完璧な判断」と評したのに対し、鶴見は有古の行動を「ひやりとする話だな」と言葉の上では批判しています。

(この時の言い回しは、どちらかというと有古がスパイとして帰ってきたことに気付いていると遠まわしに批判している様に思わせます)

21巻208話にて、有古によって救助・捕縛された都丹庵士ですが、有古の前に現れた土方により、有古が土方陣営に寝返る形で死を免れることになりました。

その後も都丹は土方陣営として行動を共にしています。

 


まとめ

 

今回は、作中で最も危険な立場に立たされていた有古力松について、作中における立場、菊田との関係、登別が舞台になった「有古の庭」について触れていきました。

途中参加にもかかわらず、土方と鶴見の刺青人皮をはさんだ情報戦に巻き込まれる様は、不遇としか言いようがありません。

本当に頼りになるのは菊田なのか、誰なのか。

今後、有古が誰につくかが、彼の運命を分けそうに思えます。

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