ゴールデンカムイでウイルクの正体は?のっぺらぼうになったのはなぜ?

 

すべての始まりであり、金塊をめぐるサバイバルの重要なカギを握る『ウイルク』

物語前半では『のっぺらぼう』として登場していましたが、話が進むにつれてその過去や思惑が明らかになってきました。

ウイルクとは何者なのか?

のっぺらぼうになった理由は?

ウイルクの過去やアシリパとの関係についてまとめました。

※ネタバレを含みます。

 

ゴールデンカムイでウイルクの正体は?


引用:https://goldenkamuy.fandom.com/wiki/Wilk

ウイルクとは?

 

『のっぺらぼう』『アチャ』『ウイルク』と様々な呼ばれ方をしていますがすべて同一人物です。

ウイルクは樺太アイヌとポーランド人のハーフであり、樺太アイヌとして育ち、幼い頃に狼の強さや非情なまでの機能的な行動に関心を寄せていたことからポーランド語で「狼」という意味のウイルクと名づけられました。

アシリパの父であり、帝政ロシアに抵抗するパルチザンの一員のウイルクであり、囚人たちに刺青の暗号を掘ったのっぺらぼうです。

計画遂行のために残忍な手段を平然とやってのける冷徹な超合理主義者でした。

パルチザン時代を共にしたキロランケは、「ウイルクが家庭を持ち思考が軟化し、ロシアの少数民族を見捨てた」と言っていましたが、囚人に皮を剥ぐことを前提にした刺青を施している時点で計画の方向性を変えただけであまり変わっていないような気もします…

博識でカリスマ性があり、パルチザン時代もアイヌ時代も多くの人を惹きつけ導いていたため、ウイルクとの関係は多くの登場人物の人生に影響しており、一部では『すべての元凶』『サイコパス』などと言われています。

 

ウイルクはアシリパの父!

指名手配犯として逃亡で生活した後に、北海道アイヌが集めていた金塊でロシア海軍大佐から武器等を購入しようとしたが海難事故により計画が頓挫したことを知り金塊の行方を捜すために北海道へ渡ります。

よりアイヌの生活になじみ、情報を得るためにアシリパの母であるリラッテと結婚しアシリパが産まれます。


リラッテ ↑ 引用:https://goldenkamuy.fandom.com/wiki/Riratte

リラッテはアシリパが物心がつく前に病気で亡くなったため、アイヌの風習のことや生き方はウイルクから学んだとアシリパは言っていました。

アシリパの中では母を愛し、多くのことを教えてくれた優しいアチャ(アイヌ語で父)であり、アイヌの金塊輸送中に襲われ殺害されたアイヌのうちの一人でありました。

杉元が金塊を探していることを知り協力したのも、金塊を探す過程で父の仇を見つけ出せると思ったからです。

刺青の囚人から金塊のありかを暗号にした『のっぺらぼう』の存在を聞き、序盤はアチャ(父)の仇に限りなく近い人物としてのっぺらぼう(父)を探し始めたんですね。

ウイルクはアシリパに狩猟やサバイバル術を仕込んでいたのは、将来アイヌを導き北海道独立のための指導者となれるようにとの願いを込めており、刺青の暗号もアシリパだけが解けるようになっていました。

娘に対して過酷な未来を用意しようとしたウイルクに対して杉元は激怒します。

壮絶な金塊の奪い合いの中でも殺人という闇を抱えずにいたアシリパに戦場に行く前の自分を重ねていた杉元からすれば、アシリパが慕う父親がアシリパを率先して戦場に立たせる未来を用意していたなんて許せないことでしょう。

 

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正体はロシア皇帝を爆殺したテロリスト

 

ウイルクは南樺太のアイヌのコタンで生まれ育ちましたが、1875年の樺太、千島交換条約により故郷のコタンは解体されました。

多くの住民は北海道に移り住みましたがウイルクは父親がポーランド系だったために南樺太に残り、生活を続けます。

帝政ロシアは樺太に残ったアイヌに『アイヌ』と名乗ることを禁じており、故郷もアイデンティティも奪われた幼少期を過ごしました。

日本側は『アイヌ』と名乗る人々は日本人なので南樺太の中でもアイヌがいる場所は日本領であると主張していたためです。

日本とロシアで交わされた樺太、千島交換条約は樺太をロシアに、千島を日本にという条約でしたが元々どこの領地でもなく民族として暮らしていた人々がどちらかの国籍の選択を迫られ、生活を変えざるを得ない状況になっていました。

 

幼いころから国同士の摩擦ですりつぶされていく少数民族とその文化を目の当たりにしたウイルクは、10代のうちに帝政ロシアから少数民族を守り、独立国家を作るためのパルチザン(反乱軍)の一員として活動を始めます。

1881年にアレクサンドル2世を爆殺し、指名手配犯になりました。

この事件は史実を元にしており、主犯がソフィアという女性、馬車に爆弾で攻撃し暗殺という点が同じです。

 


のっぺらぼうになったのはなぜ?

 

 

のっぺらぼうはウイルク

ウイルクは北海道で暮らすうちにロシアを含む広大な独立国家を作ることは現実的ではないと判断し、海で囲まれ防衛のしやすい北海道のみを独立させることを考えるようになりました。

持ち前のカリスマ性を発揮し、アイヌの人々をまとめて金塊の行方を追い、戦う準備を進めます。

しかしアイヌの反乱軍メンバーには元々ロシアのパルチザンであったことは話しておらず、鶴見中尉がそのことをメンバーの一人にロシアで革命運動をするための資金に充てるようなことを匂わせつつ伝えます。

その結果ウイルクを擁護するものと批判するものの対立が起き、仲間内で殺し合いが始まってしまいました。

このあたりに必要以上に馴れ合わずに淡々と計画を実行しようとする所の問題が出ているように思います。

ウイルクは北海道を独立国家とし、弾圧されているロシアの少数民族の移住希望者を移住させて平和に暮らすことを夢見ていました。

『北海道を独立させる』という点では同じではありますが、アイヌの独立と文化の保護のために戦おうとしている人がほかの民族のために利用されていると感じるのは自然な感情です。

自分の死を偽装

 

アイヌの殺し合いでウイルクだけが生き延びましたが、自分の過去を知っている者が追ってきていること、このままでは自分がアイヌを虐殺した犯人にされてしまうことを察したウイルクは自分の顔の皮を剥いで死を偽装しました。

アイヌの遺体の中に自分も居たことにするために、殺しあったアイヌ全員の顔の皮を剥いで目をくり抜き、顔の皮を被せ変えることで猟奇的な犯人の犯行に見せかけようとしました。

しかし遺体の眼球がくり抜かれていることから鶴見中尉は唯一青い瞳をしていたウイルクが死を偽装して逃亡したことを見抜いて追跡をします。

まさか麻酔なんてないでしょうからそのまま自分の顔の皮を剥いだんですよね…

そして先ほどまで仲間として活動していたアイヌたちの皮を剥いで目をくり抜いてその死体に自分の皮を被せて逃走。

その行動力と胆力と技術がカリスマ性に繋がっているのでしょうが、サイコパス扱いされるのも納得です。

 

まとめ

今回はゴールデンカムイにおいて金塊争奪戦のカギを握るウイルクについてまとめました。

ゴールデンカムイには狂気じみたキャラクターが複数人出てきますが、各々歪んでしまった壮絶な背景がある中、ウイルクはあくまでもナチュラルに描かれています。

自然体でいて、多くの人を導き人生を狂わせてしまったウイルクは、もはや人間災害のようなものです。

ウイルクのことが掘り下げられれば掘り下げられる程に、アシリパはよくぞ素直でまっすぐ育ったと噛みしめる思いです。

最後まで読んで下さってありがとうございました!

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