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NHKで放送の「世界の哲学者に人生相談」は、素朴な悩みを超一流の哲学者ならどのように考えるのか、哲学の専門家とともに考える番組です。
7月2日は“行き詰まりから脱出するには”というテーマで、哲学者ジョン・デューイと共に考える番組でした。
目次
デューイに学ぶプラグマティズム!
「目前の問題に行き詰まり、どうしていいかわからない」
そんな時、アメリカの哲学者デューイならどうするか、西部開拓時代のゼロから開拓してきた精神から考えます。
↓デューイさんはこんな方↓
デューイは、「プラグマティズム」(実践主義)を提唱、スマホを生み出したスティーブ・ジョブズの発想にも影響を与えた哲学者です。
大事なのは「思い込みを捨てる」「目標を見極める」こと、だとデューイは言うのです。
プラグマティズムとは
プラグマティズムとは、実用主義のことで、ギリシャ語で「実践や行動」を表す「プラグマ」に由来するそうです。
哲学はプラグマティズムが出てくるまでは、主にヨーロッパで発展し、抽象的なもので、人間の生活とは一線を画していたそうです。
ところがプラグマティズムが出てきて、哲学が身近なものになりました。
プラグマティズムを育てた3人の哲学者
プラグマティズムは、アメリカの3人の哲学者によって実践されるようになりました。
理論: ジェイムズ
実践: デューイ
その中で、デューイはプラグマティズムを実践した哲学者です。
プラグマティズムはアメリカで起こった
プラグマティズムがアメリカで起こったのは、アメリカの歴史と関係があります。
アメリカに移住した開拓者たちは、何もないところから土地を耕し、家を作り、と全てを何もないところから始めなくてはなりませんでした。
それまでの既存の知識では解決できない問題がたくさんあって、行き詰まることがたくさんあったようです。
思い込みや固定観念を捨てなくては先に進めなかったのでしょう。
デューイはそのことを祖父から教わったそうです。
開拓民のエピソード
これは番組では触れられていないことですが、アメリカに移住したピルグリムファーザーズは最初にプリマスという場所に到着しました。
その年の冬は大変厳しく、大勢の死者を出したそうです。
しかし翌年、近くに住んでいたいたインディアンからトウモロコシなどの作物の栽培の仕方を教えてもらって生き延びられました。
1621年の秋は、特に収穫が多かったので、ピルグリムファーザーズは教えてくれたインディアンを招待して、神の恵みに感謝して共にご馳走をいただき、それが感謝祭となったそうです。
これも一つのプラグマティズムではないでしょうか。
原住民に教わる、という選択肢は当時の人になかったかもしれませんが、たくさんの人が死に、固定観念を捨てなくては生き延びられなかったのでしょう。
世界の哲学者に人生相談「行き詰まりから脱出するには」
番組では、50代女性のお悩みを例に、問題解決の道をデューイの哲学をもとに探りました。
50代女性のお悩み
その悩みがこちらです。
・兄弟3人で助け合いたいが仲が悪い
・今更仲良くなれるはずもなく八方塞がり
解決策
デューイの哲学
「目的を見極めなさい。新しい手段が見つかるかもしれない」
「既存の知識こそが問題解決の敵である」
から考える。
「目的が介護」というのは思い込みかもしれない。
本来の目的は?
「母親をいい状態にすること」
このように考えれば、
●母親をいい状態にするという目的を3人が共有して、それぞれできることをすればよい、と考える
●無理に仲良くなる必要はない。
●施設や役所に相談して、人に任せることは任せていく。お金で解決できることもあると割り切る。
のような解決策が出てきました。
思い込み・固定観念の例
番組の中で、いくつかの思い込みの例を挙げていました。
7の数字の例
和田アキ子さんが言うには、数字の7になる足し算を思うとき、日本人は2+5を思い浮かべる人が圧倒的に多いのだそうです。
しかし、他の国では3+4や1+6を思い浮かべる人も多く、2+5は固定観念ではないかと言っていました。
スカートの例
みちょぱさんは、スカートをウエストから下にはくもの、という思い込みを捨てると、胸の上から身につけて、ワンピースとして着られるかもしれない、と言っていました。
メガネについての例
メガネについての例では
↓
18世紀になると「耳にかけて使うもの」
↓
20世紀になると、コンタクトレンズが登場し「目につけるもの」、と変化してきました。
このように思い込みを捨てたことで、進化が生まれたのだそうです。
ゆで卵の例
デューイは37歳の時に、自分の理論を実践するために小学校でプラグマティズムに基づいた授業をしたそうです。
まず、机を子どもたちが向き合うように配置して、一緒に作業をしたり話し合ったりできるようにしました。
「ゆで卵を作る」という授業では、ある子が「お料理の本に乗っているやり方でやろう」と言ったそうです。
そこでデューイは「料理の本にかかれているやり方はどうやってできたのでしょうか」と問いかけ、生徒は本に頼らず実際にいろいろなやり方でゆで卵を作ってみたのだそうです。
そこから、いろいろな発見がありました。
高温で長い時間・・・堅ゆでたまごができた
高温で短い時間・・・半熟卵ができた
低温で長い時間・・・温泉卵ができた
デューイは、生徒に教えるのではなく、「すること」から学んでほしいと思っていいたようです。
電話の例
ちなみに、スマホを生み出したスティーブジョブズは、プラグマティズムを体現した人物と言われているそうです。
電話はボタンを押すもの、という思い込みを捨てたことで、スマホが生まれたそうです。
しかしかつて電話はダイヤルを回すものでした。
そこからボタンを押すまでにも、固定観念が打破されていますね。
まとめと感想
哲学者デューイの推奨する「プラグマティズム」について見てきましたが、私たちの日常生活にも応用できる哲学だと思いました。
高田純次さんはいつもラーメン屋に行くともやしそばを頼んでいたのだそうです。でも、チャーハンなど別のものを食べてみるのもありかも、と言っていました。
確かに私たちは毎日同じことを繰り返して生きていることが多いですね。
でも何か行き詰まりを感じたときに、思い込みを捨てて目的を見極め、今までと違うアプローチをしてみると、解決策が見つかるかもしれません。
人間の脳は新しいことが入ってこないとなまけて動きが鈍くなると聞いたこともあります。
脳を活性化させるためにも、デューイが実践したプラグマティズムの理論を活かしてみるとよいかもしれませんね。
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